広範囲末梢神経損傷に対する細胞移植を組み合わせた新規人工神経の作成
【研究キーワード】
末梢神経損傷 / 人工神経 / 再生医療 / 細胞移植 / シュワン細胞 / 末梢神経
【研究成果の概要】
外径3mm、内径2mmで外層がキトサン、内層がコラーゲンの中空型人工神経を作成した。そして、以下の4群を作成し、SDラットの坐骨神経10mm欠損モデルに顕微鏡下に神経断端の架橋を行った(各群はn=10)。同人工神経のコラーゲン層にラットシュワン細胞を封入し移植した群(人工神経-細胞移植群)、同人工神経のみを移植した群(人工神経単独群)、同径のシリコンチューブに同シュワン細胞を封入し移植した群(シリコン-細胞移植群)、坐骨神経を10mm切断して反転縫合した群(自家神経群)。
移植細胞についてはレンチウイルスを用いたffLuc遺伝子導入による標識化を移植前に行い、移植細胞の生存、増殖をバイオイメージングにて追跡を行ったところ、人工神経-細胞移植群およびシリコン-細胞移植群いずれにおいても移植細胞が生存していた場合に認められるルシフェリン発光は、移植後早期の段階で消失していることが明らかになった。
また、移植後の下肢運動機能評価として歩行解析を2週間毎に実施し、術後3ヶ月まで経時的に追跡した。下肢運動機能は人工神経-細胞移植群ではシリコン-細胞移植群よりも良好な回復を認めた一方で、自家神経群には及ばない結果であった。
術後3ヶ月での組織学的評価では、トルイジンブルー染色による軸索再生、免疫組織染色および電子顕微鏡による再髄鞘化について解析した。軸索再生に関しては、運動機能評価と同様に、自家神経群が最も良好な軸索再生を認め、人工神経-細胞移植群は自家神経移植に及ばなかった一方、シリコン-細胞移植群よりも良好な回復を認めた。現在は免疫組織染色および電子顕微鏡による解析を実施中である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)