生命科学におけるモデルとしてのメダカに関する研究動向調査
【研究分野】実験動物学
【研究キーワード】
メダカ / 小型魚類 / 種分化
【研究成果の概要】
わが国では、メダカに関する研究の歴史も古く、実験動物として、遺伝学、染色体学、放射線生物学、発生生物学、生化学、形態学、実験腫瘍学、系統進化学などの分野で活用されてきた。また、最近では、メダカを含む一部の小型魚類が、ヒトを含む脊椎動物のモデルとして注目され、生活環が短いこと、体外発生であること、性転換可能であること、ゲノムサイズが小さいこと、等を考慮にいれた遺伝子レベルでの研究がなされるようになっている。現在、メダカを用いた論文は、日本の研究者によるものばかりでなく、年々、欧米やアジア諸国の研究者による論文数も急増している。本研究では、17名の研究者がそれぞれの専門分野を分担範囲とし、そこでの研究全般の趨勢とその中でのメダカを使った研究成果の位置づけ、さらに今後メダカを使うことによってどのような問題の解決が期待できるかについて調査を行った。
その結果、メダカにおいては、実験室内での交配が可能な近縁種があること、地域による様々な亜種があることなどの点が他の実験脊椎動物に対して優位であり、脊椎動物の種分化の分子メカニズムを解明するモデル動物として有用であるとの結論を得た。生命の成立と存続の基盤となる種分化と維持のしくみは、現存する生物を理解する上で重要な段階であると同時に、環境変化などによると考えられている生物相の変遷とその意義を知るためにも重要な課題である。そこで、この研究方針を積極的に推進すべく、平成10年度特定領域にメダカ研究を主体とした、14名の研究代表者からなる「実験分子生物学による脊椎動物の種分化機構研究」を申請した。
【研究代表者】