モノアミンシグナルを介した膵島の機能性調節機構の解明
【研究キーワード】
膵臓 / ドパミン / ヘテロ性 / β細胞 / インスリン / ROS / 脱分化 / 糖尿病 / 膵島 / ドーパミン
【研究成果の概要】
1型糖尿病や2型糖尿病の治療に対し膵島や膵臓移植が有効な治療法である。しかし、ドナー不足がこれらの治療法を広く利用することの妨げになっているため、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)からの膵β細胞分化誘導法が近年の研究により確立されつつある。
一方でヒトiPS細胞由来β様細胞への分化誘導細胞が試験管内で成熟度を長期間保持することは困難であり、誘導されたインスリンを分泌できる細胞群を用いて糖尿病モデルマウスへの移植実験を行うと移植後に移植された細胞の細胞死や脱分化によりインスリン分泌を維持でない現状がある。
我々が着目するドパミンを介するβ細胞間のシグナル伝達は移植後の細胞機能が維持できない問題点を改善する一因であると考えている。膵島内でのドパミン合成に関与する酵素であるTyrosine Hydroxylase(TH)陽性細胞は全膵島細胞中の5%以下しか存在しない。これまでの研究の中で膵臓β細胞内外のドパミン濃度はインスリン分泌の抑制や細胞の成熟度、細胞死の誘導を制御するうえで重要な因子である。TH陽性細胞と陰性細胞間のドパミンの受け渡しによる細胞集団としての膵島の細胞間相互作用を理解することはiPS細胞を用いた臓器再生に向け重要であると考えている。今年度は、前年度までに得たTH陽性細胞に隣接するTH陰性のβ細胞の機能低下について分子生物学的手法を用いて研究を進めるとともに一部にTH陽性細胞を含む膵島細胞集団としての機能評価も併せて行った。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)