維管束系形成の分子機構
【研究分野】植物生理
【研究キーワード】
シロイヌナズナ / 維管束 / 細胞間相互作用 / ブラシノステロイド / ヒャクニチソウ / 管状要素分化 / 前形成層 / ニンジン / 突然変異体 / 抗体 / 極性 / ホメオボックス遺伝子
【研究成果の概要】
1.シロイヌナズナ突然変異体を用いた解析:シロイヌナズナ葉脈パターン変異体van1-van7の解析を行い、これらの変異体はいずれも前形成層の形成過程での変異であること、維管束の全体的なパターンよりも連続性の方が脆弱である、ことを明らかにした。この結果は、パターン形成に連続性が求められるキャナライゼーション仮説からは説明が困難であり、パターンの断片化が容易に生じ得る反応拡散プレパターン仮説を支持するものと考えられた。
2.ニンジン不定胚形成系における維管束形成関連ホメオボックス遺伝子の解析:ニンジン胚形成過程で発現する6種のHD-Zip型ホメオボックス遺伝子の解析の結果、胚形成後期においてCHB6は前形成層、CHB1-CHB5は異なる維管束細胞に発現することが明らかになり、このクラスのホメオボックス遺伝子の維管束形成への関与が示唆された。
3.ヒャクニチソウ葉肉細胞からの管状要素分化系を用いた前形成層分化と分化決定の解析:
(1)ヒャクニチソウin vitro管状要素分化系において、多様な維管束細胞の存在を明らかにした。
(2)シート培養法・ビーズ培養法を確立し、この培養法を用いて管状要素分化誘導・促進因子を部分精製した。この分子は高分子量のアラビノガラクタンプロテインで、これをザイロジェンと命名した。
3)ブラシノステロイドを定量した結果、細胞は、ブラシノステロイド合成酵素群の協調的な転写活性のup-regulationにより、ステージ3直前に多量のブラシノステロイドを蓄積することが明らかになった。また、ブラシノステロイドのうち、活性型ブラシノステロイドであるカスタステロンが積極的に細胞外に分泌されることが示され、細胞外でのシグナル受容の可能性が示唆された。
(4)ファージディスプレーサブトラクション法による抗体産生を試み、維管束細胞を特異的に認識する3種の抗体の獲得に成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
出村 拓 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
杉山 宗隆 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1998 - 2000
【配分額】37,300千円 (直接経費: 37,300千円)