蛋白の2次元電気永動法に基づく肺癌蛋白の解析と外科切除後科学療法適応への応用
【研究分野】胸部外科学
【研究キーワード】
肺癌蛋白 / 抗体 / 予後 / TA02 / Napsin A / reticulocalbin / GST-π / 2次元電気泳動法 / 手術予後 / reticulocarbin / 原発性肺癌
【研究成果の概要】
1.原発性肺癌各組織型に特徴的な16種類の組織分化関連蛋白を2次元電気泳動像上で同定した。
2.組織分化関連蛋白および細胞増殖関連蛋白の発現に基づき原発性肺腺癌の典型的泳動像を示す症例(定型例)と示さない症例(非定型例)に分類した。
定型例では非定型例に比べ高分化型・リンパ節転移陰性例が多かった(定型例の65.4%、非定型例の20.5%が高分化型、定型例の65.4%、非定型例の34.9%がリンパ節転移陰性)。また定型例で再発までの期間も有意に長かった(3年間無再発率で定型例62.9%、非定型例で27.1%、p=0.0011)。
3.肺腺癌関連蛋白TA02分子のN末端側を認識するモノクローナル抗体を作製した。ヒト正常組織での免疫組織化学的解析で組織学的分布を明らかにした。
98年末に新しいaspartic protenaseとしてNapsin Aの遺伝子配列が公表されたが、TA02N末端のアミノ酸配列と相同性が高った。RNAレベルでのTA02発現肺腺癌症例のnapsin A発現と、napsin A-GSTfusion proteinの抗TA02抗体との反応性を示すことでnapsin AとTA02との同一性を示した。
4.CDDP耐性肺癌培養細胞と親株との比較で発現量が顕著に低下・増加する蛋白をそれぞれ1つずつ2次元電気泳動ゲル上で同定した。N末端側アミノ酸解析の結果、前者がendoplasmic reticulumに存在するカルシウム結合性蛋白であるreticulocarbinと相同なこと、後者がglutathione-s-transferase π (GST-π)と相同な分子であった。
5.以上より2次元電気泳動法による肺癌蛋白の解析は腫瘍の生物学的悪性を評価する上で有用と考える。
【研究代表者】