空間情報探索型ヘドニック回帰分析手法の開発研究
【研究分野】経済政策
【研究キーワード】
ヘドニック分析 / 地理情報システム / 敷地 / 接道 / バッファー距離 / 人口減少 / インフラ管理 / バブル / 合意形成 / マンション / 市場細分化 / 類似度 / 比較事例 / 密集市街地 / 変数探索
【研究成果の概要】
不動産価格推定式をより精度を上げるために、web上の情報を検索して用いる可能性について分析した。その例として、葛飾区、港区、世田谷区の3区のマンション賃料推定モデルをとりあげ、インターネット上のWeblogから抽出してきた各地域の評判情報を説明変数としてモデルに追加して、その精度向上がどの程度可能であるかを検証した。本研究の手法が確立されれば、定量的なデータとして扱いにくい「景観の良さ」や「高級感」といった指標をモデルの精度向上のために活用することができる。分析の結果、特に都心区などブランド性が高いと思われるエリアにおいて、精度向上が顕著であり、説明変数の自動探索の有効性を確かめることができた。空間情報とテキスト解析の適切な分析により、ヘドニック分析の精度向上が見込まれることから、手法の発展性も確認できた。また、バブル崩壊時にオフィスが住宅にコンバージョンされたが、コンバージョンの前後の利益ギャップとコンバージョンされる確率をヘドニック分析を用いて分析した。その結果、特に都心部に位置するという空間的な特徴が確率に大きく影響することが判明した。さらに、空間的な特徴量である敷地の接道の有無の判定のための簡易な手法としてバッファー領域を用いる方法の有効性を検討した。その結果、面ボロノイ分割を用いる方法と比較しても、精度は0.2~3.3%であり、面ボロノイ分割を用いる方法の計算量が膨大になることを考えれば、バッファー領域を用いる方法は十分に実用に耐えることが判明した。また、そのための最適なバッファー距離は平均的な敷地面積の平方根の約0.35倍が良いことが実際の検証分析で明らかになった。この他、都市の今後の評価において重要と思われる要因を体系的にとりまとめ、今後のヘドニック今析で評価上重視すべき観点などをとりまとめた。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2009 - 2010
【配分額】3,200千円 (直接経費: 3,200千円)