レーザー走査法による生体眼底計測装置
【研究分野】眼科学
【研究キーワード】
レーザー走査 / 眼底計測 / LSO / 眼底カメラ / 蛍光眼底検査 / 医用画像処理 / 超音波偏向素子 / 中心暗点 / 超音波光偏向素子 / 蛍光眼底観測 / 網膜機能 / 画像処理 / レーザ走査 / 螢光眼底観測
【研究成果の概要】
第1年度は装置の試作設計, 第2年度は試験的研究と装置の改良, 第3年度は臨床医学的研究と実用化の検討を行なった. 空冷式アルゴンイオンレーザを用い, 超音波光偏向素子とガルバノ振動鏡の組合せにより, 生体眼底を高速走査し, NTSC方式のビデオレートで画像形成を行なう方式にした. またズームレンズ系により, 20度から60度視野の観測可能な装置にした. 画角20度の場合に, 眼底網膜上の解像力は約45本/mmであり, 超音波光偏向素子を用いるときに必然的に生ずるシリンドリカルレンズ効果の影響が大きい. 被検者の眼球運動に伴う画質の低下は殆んどなく, 安定した眼底網膜像が得られた. 入射光量も少なく瞳上で約20μWであり, 被験者の負担の軽減と安定性の向上に非常に有効であることも判明した. 蛍光眼底観測に際しては, 従来のストロボ撮影に比して, (イ)造影剤の注入量は10/1と少なくてよい. (2)観測は連続的に実時間で可能である. (3)照射光量は非常に少ない. (4)経口造影剤による安全性の高い観測も可能と考えられる, など多くの利点が明らかになった. さらに, 視神経線維が明瞭に観測されることや, 計算機による画像処理を併用して目的に応じた診断の向上などが期待できるものとなった. その他臨床医学的に重要な点は, (1)中心暗点を有する患者の偏心同視点の発見, (2)緑内障眼の早期視野変化の発見, (3)網膜の黄斑神経線維の計測, (4)光凝固手術の併用の可能性, (5)眼底血流の計測, (6)前眼部失患への応用, など従来の技術では困難であった重要な知見の得られることが判明した. 実用化のために, (1)解像力向上にはポリゴン回転鏡による共焦点方式にする. (2)検出感度上昇のために光電子増倍管の冷却を行なう, (3)診断目的に応じた画像処理を行なう, (4)全体として使い易い実用機の設計を行なう, などの必要性がある. 欧米でも最近試作がなされているが, おくれることなく本研究の目的が達成された.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
簗島 謙次 | 国立身障者リハビリテーション病院 | 眼科 | 部長 |
鵜飼 一彦 | 北里大学 | 医学部・眼科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
小松 進一 | 早稲田大学 | 理工学部・応用物理 | 教授 | (Kakenデータベース) |
小口 芳久 | 慶應義塾大学 | 医学部・眼科 | 講師 | (Kakenデータベース) |
中島 章 | 順天堂大学 | 医学部・眼科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
YANASHIMA Kenji | Department of Ophthalmology, National Rehabilitation Center for the Disabled. |
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【研究種目】試験研究
【研究期間】1985 - 1987
【配分額】17,000千円 (直接経費: 17,000千円)