ビタミンE同族体の肝線維化抑制効果を増強させる間質環境の探索
【研究キーワード】
肝線維化 / ビタミン / 間質 / 細胞・組織 / NASH / 類洞内皮細胞
【研究成果の概要】
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、近い将来、肝癌の主因となると予測される生活習慣病関連疾患で、有効な予防法・治療法の開発は喫緊の課題である。近年では、肝実質細胞の脂肪蓄積軽減や炎症の鎮静のみならず、NASH重篤化の鍵となる肝線維化の抑制・改善にも注目が集まっている。ビタミンE投与は、以前からNASH治療において一定の有用性が示されながらも、治療効果への期待と副作用への懸念のバランスから、未だ絶対的選択肢とはなっていないのが現状である。本研究では、ビタミンE同族体のNASH改善効果とそれを増強させる間質環境の探索を目的としている。
ビタミンE同族体のNASH改善効果について、NASH発症初期のトコトリエノール投与は、Col1a1, Col4a1発現を顕著に低下させ、線維化抑制に寄与することを明らかとし、論文報告した。しかしこの際に、星細胞活性化の最も顕著なマーカーとして知られるActa2発現には変化はみられなかった。肝線維化の亢進や抑制には、別の間質分子や間葉系細胞も関与するものと考えられる。我々はこれまでに、創傷治癒に関わる細胞外マトリックスであるテネイシンC (TNC)の欠損は、肝炎初期段階における組織再生を遅らせ、代償的過形成や線維形成を亢進させることを明らかにしている。TNCはNASHからの治癒過程においても肝組織、特に肝線維化に何らかの影響を及ぼすことが予測される。そこでNASHからの回復過程において、ビタミンE同族体投与およびTNC欠損が、肝線維化に及ぼす影響について検証を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
藤原 葉子 | お茶の水女子大学 | 基幹研究院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
日下部 守昭 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 特任教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)