膜融合能増強型標的化改変ヘルペスウイルスを用いたがん免疫療法の開発
【研究分野】外科学一般
【研究キーワード】
腫瘍免疫 / がん免疫療法 / 腫瘍溶解性ウイルス療法 / 遺伝子治療 / 実験外科学 / 癌 / 免疫 / 遺伝子 / トランスレーショナルリサーチ / 生体機能利用
【研究成果の概要】
我々の開発したウイルス伝搬能が高く特徴的な細胞死を誘導できる膜融合能増強型標的化改変型単純ヘルペスウイルスの抗腫瘍効果について、直接的細胞傷害性に加えて免疫学的反応の検討も可能な同系マウス腫瘍モデルを構築した。そして我々が上記治療法の併用療法として注目している新規チェックポイント分子であるMilk fat globule- epidermal growth factor- factor 8 (MFG-E8)に対する阻害抗体治療実験に使用できるマウス・モノクローナル抗体も作製した。同時に、実際のがん患者において、MFG-E8の存在ががんの進展に関して重要なものであるという証拠も得ることができた。
【研究の社会的意義】
免疫療法は、今や、がん治療の標準的治療法の一つである。しかし、その奏効率は必ずしも高いものではないため、がん細胞を直接傷害できる治療法との併用による治療効果の改善が模索されている。我々は、腫瘍融解性ヘルペス・ウイルス療法が、その役割を担いうるものと考え、患者と同様な免疫反応を持つマウスを用いた実験に必要な腫瘍モデルと、免疫治療実験に使える抗体試薬を作製した。また同時に、実際のがん患者においても、我々の注目している免疫関連分子が重要な働きをしていることを見出した。この研究成果により、今後、有望な腫瘍融解ウイルスと免疫療法との併用療法の開発が加速できると考えられ、学術的・社会的意義は高い。
【研究代表者】