コメの放射性セシウム汚染に、高濃度セシウム含有不溶性微粒子は影響しているか?
【研究キーワード】
放射性セシウム / 放射性微粒子 / 分離 / イネ / 原発事故 / コメ / 不溶性微粒子 / 不溶性粒子
【研究成果の概要】
水田試料では、今年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大による社会情勢から、東京から福島県への出張を行うことができず、新たな試料採取が不可能であった。そのため、過去に採取し、放射性セシウム分布の原状が保存されている試料について検討を行った。これまで、イメージングプレートによる直接の捜索ができなかった茎および葉の試料を、濃硝酸および過酸化水素水によって高熱で有機物を分解し、放射性Cs含有不溶性微粒子(RCsBP)の直径よりも小さいフィルター上に捕集して解析を行った。しかし、今年度測定を行った試料からはRCsBPは発見されなかった。
一方で、不溶性微粒子の分離手法・分離技術の最適化により可能となった、多量のRCsBPの単離による原発事故直後の放射性プルーム中に含まれるRCsBPの割合の実測については順調に研究が進展した。100個を超えるRCsBPを単離し、それぞれ1個ずつのRCsBPについて60万秒の連続測定を行い、順次放射能を決定した。放射能およびセシウム同位体比から、全て2号基由来のRCsBPであると現時点では考えられる。また、分離作業の中で、イメージングプレートによる平面分布が通常のRCsBPとは明らかに異なる粒子が見つかった。このことは、球状ではない2号基由来のRCsBPが存在していること、あるいは、高濃度の可溶性放射性セシウムが飛来して降下および沈着が起こったこと、の2つの可能性を示唆している。今後、この粒子については、他のRCsBPよりも詳細に分析を進める計画である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)