法的判断の構造とモデル化の探求:AIはリーガル・マインドを持てるか?
【研究キーワード】
リーガルマインド / 脳神経科学 / 法的判断 / 法専門家と素人 / 事実認定 / 脳科学 / 法律要件当て嵌め判断 / 事実認定と証明度 / リーガル・マインド / シナリオ・スタディー / AI裁判所 / 裁判管轄の合意 / 仲裁合意 / 量刑 / フィールド実験 / 要件・効果思考法 / AI / 刑務所 / 法的推論 / ベイジアン・ネットワーク / 矯正施設 / 人工知能 / 心証形成
【研究成果の概要】
コロナウイルス・パンデミックのために実施を繰り越していた社会調査(フィールド実験)について,調査会社と改めて打ち合わせて実施可能という結論に至って,2021年度に実施することが出来た.
具体的には,リーガル・マインドを持ったAIの支援を受けた裁判所,及びそのようなAIそのものが裁判をすることについてのシナリオ実験を構築して,2×3×2の12種類のシナリオの質問票を作成し,調査会社によるインターネット調査の形式で,各ヴァージョン100データの合計1200データを収集することが出来た.本来は郵送法との併用を計画していたが,郵送法はコロナウイルス・パンデミックに鑑みて回収率がはかばかしくないであろうということでネット調査に絞って実施した.
シナリオとしては,裁判管轄の合意をする場合の,AI裁判所とそうでない伝統的裁判所,当事者にとって中立的裁判地・一方に有利な裁判地,国際取引と国内取引,の組み合わせで質問をし,人々の受容の程度や当事者の合理性や有利不利についての評価を調査した.
このようなデータについて,ベイズ統計学ベースのMCMC法による分析(伝統的な帰無仮説有意性検定における三元配置分散分析に相当)を実施して,興味深い結果が得られた.
成果は,米国中心のLaw and Society Associationの年次大会,アジア中心のAsian Law and Society Associationの年次大会,及び日本法社会学会で報告して,国内外に情報発信をしている.
MRIを用いたリーガル・マインド研究もコロナウィルス・パンデミックでデータ収集が遅れたが,成果が出始めている.その一部は"Effective Connectivity and Criminal Sentencing Decisions: Dynamic Causal Models in Laypersons and Legal Experts," Cerebral Cortex, bhab484, https://doi.org/10.1093/cercor/bhab484として刊行した.
【研究代表者】