国際比較と双生児研究による「行動免疫」の文化的・生物的基盤の検討
【研究キーワード】
行動免疫 / コロナウイルス / Covid-19 / 感染予防 / 進化 / 双生児 / 行動遺伝学 / 適応 / COVID-19 / 国際比較 / 双子研究 / 感染症 / 感情
【研究成果の概要】
「行動免疫の文化的基盤」に関して,本年度は,新型コロナウイルスのパンデミックと関連した行動免疫傾向の特徴に関していくつかの実証研究を行った.まず,2021年初頭に,日本人を対象としたオンライン調査を実施し,行動免疫特性に関する大規模データを得た.このデータを,コロナ禍発生以前の2018年に実施した日本人の行動免疫特性に関するオンライン調査のオープンデータと比較して,行動免疫傾向の変化を検討した.この結果,以下の結果が得られた.1)コロナ前よりコロナ後は易感染性(感染症への罹患しやすさの自覚)と感染嫌悪(病原体が付着しやすい状況に対する不快感)のいずれも高い.2)易感染性と感染嫌悪はいずれもコロナ状況と無関係に女性が男性より高い.3)コロナ後は男女とも高齢者ほど感染嫌悪得点が高い.
さらに,新型コロナウイルスの感染状況における行動免疫と感染予防行動ならびにソーシャル・キャピタルとの関連を検討したところ,以下の結果が得られた.1)感染予防行動は易感染性および感染嫌悪の双方と有意な正の相関があり,特に感染嫌悪との関連が強い.2)ソーシャル・キャピタルは,易感染性および感染嫌悪のいずれとも弱いが有意な負の相関がある.
「行動免疫の生物的基盤」に関しては,昨年度と同様,日本人双生児データを用いて,行動免疫システムの個人差を測定するいくつかの指標とパーソナリティ特性との関連に関する多変量遺伝分析を進めた.その結果,行動免疫に関わる個人差とパーソナリティ特性の個人差の間に有意な表現型相関はほとんど確認されず,それらの間の関連性のほとんどは環境要因を媒介したものであることが明らかとなった.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高橋 雄介 | 京都大学 | 教育学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)