摂食障害患者のパーソナリティーの特徴:遺伝と環境の相互作用
【研究分野】精神神経科学
【研究キーワード】
双生児 / 食行動 / やせ願望 / 遺伝 / 環境 / 体型不満 / 過食 / パーソナリ-テイ / 摂食障害 / パーソナリティー / 拒食 / やせ / 発達段階 / ドーパミントランスポター / 遺伝子 / DAT1-VNTR / 神経性無食欲症 / 神経性大食症 / セロトニン輸送体 / D4DR / ドーパミン受容体 / 遺伝子多型
【研究成果の概要】
<問題と目的>
本研究は、摂食障害の発症および維持において主要な役割を果たすと考えられるパーソナリティの特徴を、生物・心理・社会の各側面から統合的な視点をもって解明し、他の精神疾患との関連を明らかにすることを目的としたものである。
<方法>
慶應義塾双生児研究プロジェクトに参加した15歳から31歳までの女性の双生児224組(一卵性双生児170組、二卵性双生児54組;平均年齢は20.28±4.30歳)、および摂食障害で治療を受けている70人の協力を得て食行動に影響する遺伝要因と環境要因の関連について研究を行った。また、摂食障害発症に関連した環境要因を具体的に同定することを目的として、米国コロンビア大学精神科の摂食障害研究チームと摂食障害発症の危険因子に関する国際共同研究を行った。
<結果および考察>
やせ願望には共有環境が、過食、体型不満は相加的遺伝が影響を及ぼしていた。食行動とパーソナリティとの関係では、やせ願望、過食については、パーソナリティとの関連が全て非共有環境によって媒介されていたのに対し、体型不満とパーソナリティとの関連は相加的遺伝要因によって媒介されていた。さらに年齢による違いを検討したところ、年齢が高くなるにつれて遺伝の寄与が大きくなっていた。また、遺伝子研究からは、神経性無食欲症制限型が過食症状を有する患者群と遺伝的に異なる疾患群である可能性が示唆された。なお、神経性食思不振症患者が、気分障害や不安障害発症の危険因子としての可能性を示唆する所見がえられた。
【研究代表者】