スフィンゴリン脂質によるFc受容体のリガンド親和性調節機構の解明
【研究キーワード】
Fc受容体 / SHP-1 / Lyn / PKCδ / NADPHオキシダーゼ / 活性酸素種 / 好中球 / 腎障害 / 自己免疫性疾患 / スフィンゴリン脂質
【研究成果の概要】
申請者は、好中球エフェクター機能を不適切に作動させ自己への攻撃・臓器障害及び病態の形成へ至らしめるFcγ受容体IIAに注目している。申請者はLacCerのリガンド;β-glucanが、LacCer以下の細胞内経路;Lyn kinaseとSHP-1を含むリン酸化経路を活性化させること、最終的にFcγ受容体IIAの免疫複合体へのリガンド親和性を低下させることを見出している。これらはβ-glucanというPAMPSを契機としたLacCer/Lyn/SHP-1の連続したcascadeであることを、LacCer存在/非存在下での細胞実験、Lyn knock down細胞とLyn intactの細胞との比較および、SHP-1 inhibitorを用いた実験により見出した。さらに詳細な責任分子として、SrcキナーゼであるLynのリン酸化ターゲットはSHP-1のY536とY564であることを見出した。また、好中球へのβ-glucan 暴露から数分~30分以内にLyn-SHP-1が結合することでリン酸化が進行しPeakに達すること、またFcγ受容体IIAの細胞内ドメインであるITAMのリン酸化が重要なステップとなっていることをFcγ受容体IIAのITAM変異細胞を用いた実験により見出した。そして、Fcγ受容体IIAと免疫複合体との結合を抑制するのは、複数の受容体とリガンドの結合能の総和=avidityではなく、1つのFcγ受容体IIAの1つのリガンド(免疫複合体)に対する親和性=affinityであることをin vitro、in vivo両面の観点から確認した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
平橋 淳一 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)