<周縁>からの東アジア国際秩序の探求―台湾・沖縄の間主観と国際関係史の視座
【研究キーワード】
国際秩序 / 間主観性 / 東アジア / 周縁 / 台湾 / 沖縄 / 間主観 / 共生 / 国際関係史 / 歴史認識
【研究成果の概要】
2019年度、日韓関係の悪化、香港の政情不安、新型コロナウィルス感染拡大を考慮し、中国(香港)知識人調査、韓国知識人調査の実施を延期した。代替的措置としてオンライン形式の研究会(計3回、うちセミナー1回)を開催するとともに、海外渡航調査に代わる企画を立案した。次のテーマで研究会・セミナーを開催し、問題認識を確認するとともに今後の調査研究のあり方を再検討した。
研究会のテーマは、「帝国の秩序の中の台湾、沖縄」、「日治時代の台湾哲学と英治時代の香港哲学」、「戦後沖縄の平和思想」である。これらの研究会を通じて、本研究の中核的な概念である「周縁」について再定義した。周縁に類似する「周辺・中心」の理論は、力の関係から論じられ地政学的な考え方である。「周縁」は関係性と争点によって変動する概念である。「核心」(コア)に対する概念が「周縁」(マージナル)である。中国と台湾、沖縄の「周縁」の国際秩序の表層は力と力が争点になっていても、共生や非西欧的民主主義のような価値観をめぐる争点になる。日米同盟と沖縄、米中関係と台湾、あるいは中華秩序の下での琉球王朝と台湾はいずれ中心・周辺の国際秩序である。地政学的関係の国際秩序に「周縁の秩序」が重層的に構成されている。こうした視点を共有し問題意識の共有を深め、調査に代わる研究会を継続することにした。
現地での知識人調査を実施するまでの中間措置として、中国文化大学(台湾)の若手研究者との間で、日本研究・アジア研究の主要テーマについて基本文献を共有した定期研究会を開催することにした。この成果を最終年度の「外からみた日本を知る事典」の編集に反映させる。
【研究代表者】