心筋細胞分化におけるWnt signaling pathwayの解析
【研究分野】循環器内科学
【研究キーワード】
心筋細胞分化 / 心筋特異的転写因子 / 心筋分化モデル細胞 / 細胞株 / Wntシグナル / Csx / Nkx2.5 / 心筋分化 / 発生 / 心筋再生 / ホメオボックス / 遺伝子 / 転写因子
【研究成果の概要】
Wntシグナルは心筋分化を抑制的に制御し、Wntシグナルの抑制因子であるDkk-1が心筋細胞分化を予定心臓領域以外に誘導することがニワトリ胚の研究から明らかとなった。しかし、より詳細な検討を行うにはin vitroにおける解析が必要と考えられた。P19CL6 cellは1%DMSO存在下の培養で拍動する心筋細胞へと分化し、様々な心筋細胞特異的遺伝子を発現することから、in vitroの心筋分化を研究する上で有用なモデル細胞として考えられている。そこで我々は、このP19CL6 cellにXenopus Wnt-8(Xwnt-8)を遺伝子導入し、Xwnt-8を恒常的に発現する細胞株を樹立した。また、Wnt阻害因子であるDkk-1を恒常的に発現する細胞株も同時に樹立した。Xwnt-8を恒常的に発現させた細胞株CL6-Xwnt-8は同じ条件下での培養において拍動する心筋細胞は認められず、心筋特異的転写因子であるCsx/Nkx-2.5の発現がRT-PCRにおける解析で低下していた。このことから、WntがCsx/Nkx2.5の発現を調節している可能性が示唆された。一方、Dkk-1の細胞株CL6-hDkk-1は心筋細胞への分化は認められ、Csx/Nkx-2.5の発現がP19CL6 cellと同様に認められた。しかし、CL6-hDkk-1は1%DMSOを除いた条件下では心筋細胞への分化は認められなかった。In vivoでの解析では、Dkk-1によるWntシグナルの抑制により心筋分化を誘導することができたが、我々のin vitroにおける検討では心筋細胞を誘導することができなかったことから、さらに重要な因子が存在している可能性が示唆された。
【研究代表者】