DNA障害型抗がん剤感受性増強因子SLFN11を標的とした創薬
【研究キーワード】
SLFN11 / 薬剤スクリーニング / 抗がん剤 / 耐性 / HDAC阻害剤 / 複製ストレス / DNA障害 / ドラッグスクリーニング
【研究成果の概要】
DNA障害型の抗がん剤には、古くは1960年代からのプラチナ製剤、トポイソメラーゼ阻害剤、シタラビンなどがあり、これらはがん種によっては第一選択薬として使われているほどメジャーであるが、いまだにresponder/non-responderを投与前に予測することは困難である。Schlafen 11 (SLFN11)は、大規模がんデータベースの解析から、これらの抗がん剤の感受性とmRNA発現量が最も相関する遺伝子として報告された。それ以降、様々ながん種において、SLFN11の発現量が抗がん剤効果予測バイオマーカーとして有用であることが報告されている。これらの背景から、SLFN11の発現を高める薬剤を開発し、それにより抗がん剤感受性を増強し、non-responderを無くすことが本研究の目的である。一部のepigenetic modulatorsにその作用が報告されているが、SLFN11以外の遺伝子発現にも、多大な影響を与えるため、それ以外のカテゴリーの薬剤を探索する必要がある。本研究では、まず細胞ベースの薬剤スクリニーングの系を立ち上げた。定常状態ではSLFN11の発現が低く抑えられている細胞のSLFN11遺伝子のATG直下に、ルシフェラーゼの断片となるHiBiT配列をCRISPR/Cas9システムを用いて挿入した。約4000種類の薬理活性をもつドラッグライブラリーを用いて、薬剤投与後16時間後にルシフェラーゼシグナルが高まる、つまりSLFN11のタンパク質レベルが高まる薬剤を同定した。同定した薬剤には、既知のepigenetic modulatorsであるヒストン脱アセチル化阻害剤が数種類含まれていた。別のカテゴリーの薬剤Xも同定できたので、今後はこの薬剤がSLFN11の発現を高めるメカニズムを探求する。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)