難治性多発性骨髄腫のCD26の発現誘導を制御するHDACアイソフォームの役割
【研究キーワード】
多発性骨髄腫 / CD26 / HDAC / アイソフォーム / 抗体 / エピジェネテイック制御 / ヒストン脱アセチル化酵素 / ヒト化抗CD26モノクローナル抗体 / NK細胞 / MDSC / Treg / CD26陰性骨髄腫 / HDACアイソフォーム / 非ヒストン蛋白 / アセチル化
【研究成果の概要】
これまでの研究において、ヒト破骨細胞にはCD26が機能的に発現し、多発性骨髄腫では、破骨細胞との共存により、骨髄腫細胞のCD26発現が増強することを見出した。そして、ヒト化抗CD26モノクローナル抗体投与が、破骨細胞分化を抑制し、CD26陽性骨髄腫細胞に対し、抗腫瘍効果を呈する機序を明らかにした。しかしながら、骨髄腫患者骨髄では、骨髄腫細胞のCD26発現は均一ではなく、症例によりCD26陰性骨髄腫細胞が存在することや、抗CD26抗体投与によりCD26陽性骨髄腫細胞のCD26発現が低下することが明らかとなった。腫瘍抗原の発現低下は、腫瘍免疫回避機構の1つであり、抗体投与に伴うCD26陽性骨髄腫細胞の後天的なCD26発現低下も、抗体治療抵抗性骨髄腫クローンの原因になると考えられる。そして、一連の研究過程において、CD26陰性骨髄腫細胞に汎HDAC阻害剤投与を行うと、そのCD26発現が誘導され、一様に陽性となることを新たに見出した。汎HDAC阻害薬は、広範なHDAC阻害による副作用が問題となり、高齢者を中心に罹患する難治性骨髄腫の臨床で、使用することには限界がある。そこで、HDACアイソフォームの選択的阻害によるエピジェネテイック制御が、骨髄腫細胞のCD26発現を誘導する機序を明らかにし、難治性CD26陰性骨髄腫に対し抗体療法と併用し、相加・相乗的な効果を示し、副作用を軽減する新規治療法の開発が重要と考えた。本研究では、骨髄腫において、CD26の発現・機能を制御するHDACアイソフォームの役割を解明し、CD26陰性骨髄腫の抗CD26抗体治療抵抗性を克服し、難治性骨髄腫クローンを根絶する新規治療法開発の探索を行う。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山田 健人 | 埼玉医科大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)