細胞接着分子CADM1による小細胞肺がんの増殖、転移促進機構の解明
【研究キーワード】
小細胞肺がん / CADM1 / 細胞接着分子 / 転移
【研究成果の概要】
小細胞肺がん (small-cell lung cancer: SCLC) は肺がんの約15%を占め、早期から全身に転移をきたす難治がんの代表である。細胞接着分子 Cell adhesion molecule 1 (CADM1) はSCLCに高発現し、SCLC細胞株のヌードマウス皮下における腫瘍原性を促進することをこれまでに報告しており、本研究はCADM1がSCLCの増殖、転移を促進する分子機構を明らかにすることを目的として行う。本年度はまず、CADM1がSCLCの腫瘍増殖を促進する分子経路の阻害剤を用いたスクリーニングを行った。170種類の化合物ライブラリーから、CADM1の導入によるSBC5細胞の足場非依存的増殖の亢進を阻害する化合物を絞り込み、分子X経路の関与を示唆する結果を得た。次に、Rb1/Trp53 floxマウス (RPマウス) の肺へCreリコンビナーゼを発現するアデノウイルスを投与するSCLC発がんモデルを用いて、Rb1/Trp53/Cadm1 floxマウス (RPCマウス) に発生するSCLCについて検討した。RPCマウスはRPマウスよりも長期間生存し、瀕死時の解剖において転移が少ない傾向にあった。したがって、CADM1がSCLCの発生及び進展を促進することを示唆する結果がマウスモデルにおいても得られ、解析を継続している。また、SCLCと大細胞神経内分泌がん (LCNEC) のサブタイプ分類に関する総説を共同第一著者として発表した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)