デキサメタゾンとIMiDsの相乗的な抗骨髄腫作用の分子メカニズムの解明
【研究キーワード】
がん / 多発性骨髄腫 / IMiDs / デキサメタゾン
【研究成果の概要】
(1) 昨年度に行ったSILAC-MSにより同定した候補因子の絞り込み
昨年度に同定したデキサメタゾン処理によってポマリドミド存在下でのCRBNへの親和性が変化した候補因子群について、多発性骨髄腫細胞株(RPMI8226)を用いて (a) 両剤併用によって細胞内でタンパク質分解が促進されるか、(b) その候補因子のノックダウンにより細胞株の増殖が阻害されるか、を検証した。その結果、候補因子群の中でタンパク質Xのみが両方の条件を満たした。この結果はタンパク質Xが両剤併用による抗骨髄腫作用の主要な標的であることを示唆する。
(2) タンパク質Xの薬剤耐性変異体の作製
ポマリドミドによって分解が促進される標的タンパク質の主要なグループはC2H2 ZNFモチーフを持つタンパク質であり、既知の構造的デグロンに変異を入れることでポマリドミドによる分解に耐性を持つ変異体を作製できる。タンパク質XはC2H2 ZNFモチーフを複数含むため、それぞれのZNFモチーフに変異を導入し薬剤耐性変異体の作製を目指した。しかし、各ZNFに点変異を導入した変異体はいずれもポマリドミド耐性を示さなかった。タンパク質Xの各ZNFをEGFPに連結したモデル系を用いた実験でも全てのZNFで有意な分解は観察されなかった。この結果から、構造的デグロンとしては「弱い」ZNFが複数集まることで構造的デグロンとして働く、もしくは未知の構造的デグロンに基づいて分解を受ける、ことが示唆された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)