フレイル概念モデルに着目した生物学的老化に関わるバイオマーカーの網羅的探索
【研究キーワード】
フレイル / プロテオミクス / メタボロミクス / 生物学的老化 / マルチオミクス解析 / バイオマーカー / 傾向スコアマッチング
【研究成果の概要】
フレイルはフィットの対義語として定義されており、暦年齢ではなく生物学的年齢(身体的予備能力)が重要である。これまでの諸外国の先行研究において、フレイルに関連する血中バイオマーカーが報告されているが、フレイルと非フレイル群の間で年齢が大きく異なっており、フレイルではなく単に加齢によるバイオマーカーを評価している可能性がある。従って、本研究は傾向スコアマッチング法を用いて対象者特性に差がないが、フレイルの程度が異なる4群においてオミクス解析を用いて評価した血中バイオマーカーからフレイルと関連を示す因子を探索的に評価することを目的とする。
本研究は年齢および性別などの対象者特性をマッチングさせたフレイルの表現型モデルに基づく予備能力に応じた4群(9名×4群)の計36名を対象にした。現在までに、目標であった血清サンプルを用いたプロテオミクスおよびメタボロミクスの解析を全対象者分で終えた。これらの対象者間では、フレイルの判定に用いた変数以外(年齢、体力・血管指標、血液検査等)は有意な差はみられていない。メタボロミクスでは、ターゲット解析により脂肪酸代謝物92分子、水溶性代謝物100分子同定した。プロテオミクスでは、血清サンプルから抽出した細胞外小胞を用いて合計2059個のタンパク質を定量した。従って、研究計画通り、すべての予定サンプルのオミクス解析を終えることができた。
今後、メタボロミクスおよびプロテオミクスから同定された全てのバイオマーカーとフレイル(年齢に依存しない生物学的老化)との関連を統計学的に検討し、フレイルの早期発見の有用な知見を得ることを目指す。
【研究代表者】
渡邉 大輝 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部 特別研究員
(Kakenデータベース)【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)