同重体タグを利用したリピドミクスー大規模検体に対応できる分析技術の構築
【研究キーワード】
リピドミクス / 質量分析 / 脂質 / 多検体
【研究成果の概要】
同重体タグを活用した測定系は、血中脂質ターゲット成分としてリン脂質のホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)及び遊離脂肪酸については既に確立させていた。さらに構造上同重体タグを付加させることが可能と想定できる血中脂質成分に付いて誘導体化方法及び測定系について検討し、本手法での測定ターゲット成分を増加させた。特に近年腸内細菌叢との関連や核内受容体を介した生理活性について注目されている胆汁酸について、カルボキシを持つ胆汁酸成分については遊離脂肪酸と同様の方法で誘導体化が可能なことを明らかにし、実際にヒトの血中にて感度よく測定できる系を構築した。
イオンモビリティーの活用については、1検体3分間の短時間測定系を確立した。時間を短縮することにより減少する検出成分数は、従来のLCとTOFによる分離に加えてイオンモビリティーの分離を加えることで増加すること、数百検体に及ぶ実検体の測定中を行い、各成分のシグナル値、リテンションタイム、m/z、イオンモビリティーのドリフトタイムから算出されるCCS値の安定性について検証した。これにより1日に400検体以上の測定が可能な系が構築できた。
クオリティコントロール(QC)検体の検討についてはpooledQCの作成と混ぜ合わせる人数を増やした際のロット差の現れ方を検証した。来年度以降の実検体への応用に使用する予定のヒト1000人分血清を混ぜ合わせた pooled血清のストックを完了した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)