人工知能により病理画像と多層オミックスデータを統合した新しい病理診断の創出
【研究キーワード】
病理診断 / 人工知能 / オミックス解析 / 病理画像 / CpGアイランドメチル化形質
【研究成果の概要】
腎細胞がん104症例の手術検体の病理プレパラートのうち、核異形度分類Fuhrman gradeが最も高度である領域と、面積的に最も優位なFuhrman gradeを示す領域を、種々の倍率で撮影した光学顕微鏡画像と、バーチャルスライドデータを深層学習に供した。転移学習に用いるため、肝・肺・心・胃等正常主要臓器の光学顕微鏡画像・バーチャルスライドデータを同様に深層学習に供した。自己符号化器AutoEncoderを用いた前処置により画像を圧縮し、畳み込みニューラールネットワーク (convolution neural network [CNN])に投入して、入力画像に対してCpGアイランドメチル化形質 (CIMP)陽性・陰性の2値分類を行った。CIMP陽性・陰性を判定するためのより高い曲線下面積 (area under the curve [AUC])を得るための、適切な光学顕微鏡画像の倍率ならびにデ ータ圧縮方法を明らかにした。モデル構築における、バーチャルスライド画像の有用性が示された。画像認識データセットImageNetを用いたパラメータ学習モデルInception version 3ではなく、我々自身が撮影した主要臓器の多数の光学顕微鏡画像から転移学習を行う方が、十分なAUCを獲得できることがわかった。Gradient-weighted class activation mapping (Grad-CAM)を用いて、CNNモデルがCIMP陽性・陰性の判別時に病理画像のどの領域に着目しているか可視化した。全症例・全分割画像における可視化結果を、病理専門医とバイオインフォマティシャンが討議しつつ確認した。また複数の病理専門医が、CNNモデルの着眼点を、クロマチンパターン等の核異型・細胞異型・組織構築・細胞間接着性・細胞極性・胞巣形状・血管密度・間質細胞組成に分類し言語化した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
榊原 康文 | 慶應義塾大学 | 理工学部(矢上) | 教授 | (Kakenデータベース) |
新井 恵吏 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)