イソチオシアネート系物質の発がん修飾作用の機序解明と毒性消去法の確立に関する研究
【研究分野】実験病理学
【研究キーワード】
1,4-phenylene diisothiocyanate / Phenylethyl isothiocyanate / benzylisothiocyanate / 膀胱発がん / 肝発がん / マウス / ラット / N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BBN) / 1,4-Phenylene diisothiocyanate / Phenylethylisothiocyanate / イソチオシアネート / 膀胱癌 / N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine / ICRマウス / イソチオシアネート系物質 / Diethylnitrosamine(DEN) / 1,4-phenylene diisothiocyanate(DITC) / phenobarbital(PB) / 肝発癌 / glutathione S-transferase placental form(GST-P)
【研究成果の概要】
イソチオシアネート系物質、1,4-phenylene diisothiocyanate(DITC)の修飾効果をDiethylnitrosamine(DEN)-phenobarbital(PB)誘発ラット肝発癌モデルにおいて検討した。その結果、イニシエーション期、プロモーション期、ポストイニシエーション期共にDITC投与により、肝腫瘍発生抑制を認めた。イニシエーション期に抑制効果をより著明に認められた。しかし、肝前癌性病変であるGST-P陽性巣でも、同様にDITCによる抑制効果を認めた。
DITCの修飾効果をN-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BBN)誘発マウス膀胱発癌モデルにおいて検討した。膀胱腫瘍発生率は、イニシエーション期で有意の抑制効果がが認められた。ポストイニシエーション期では有意差はなく、抑制傾向が認められた。dysplasiaでもイニシエーション期DITC投与による抑制効果を認めた。
BITC等よりも抗酸化性の強いと考えられるDITCを用いた長期実験で、ラット、マウスの別々の臓器モデルを用いたが、発癌性ばかりでなくプロモーション作用も確認できなかった。また、DITCについては、ラット肝発癌、マウス膀胱発癌モデルにおいて抑制作用が見い出された。これは、新規の毒性の少ないイソチオシアネート系物質の可能性を示唆する。
BITC、PEITCについて、ラットBBN誘発膀胱発がんモデルを用い、イニシエーション期ないし、プロモーション期にBITC、PEITCを単独もしくは併用で混餌投与し、長期のin vivoにおける検討を行った。実験を終了し、屠殺剖検した。現在、標本作成中であるが、剖検時、マクロ観察の結果では、BBN誘発膀胱発癌をBITC、PEITC各々単独では膀胱腫瘍が増加し、併用投与では膀胱腫瘍は減少した。
【研究代表者】