ホタテガイのフランシセラ感染症の総合的対策にむけた基盤的研究
【研究キーワード】
ホタテガイ / 感染症 / 細菌 / Francisella halioticida / 養殖 / 魚病 / 細菌感染症 / 診断技術開発 / 養殖生産方式 / 二枚貝養殖 / 細菌症 / 二枚貝
【研究成果の概要】
ホタテガイに生産被害をもたらす新興性疾病であるフランシセラ感染症については知見が乏しく、有効な対策がたてられていない。そこで本研究では対策の策定に必要となるであろう基盤的知見の収集が目的である。研究年度1年目には疫学情報、改良飼育法、簡便検査法および病理学研究に有用となる抗フランシセラ血清を実施している。
研究年度2年目は昨年度に引き続き疫学調査を実施したところ、調査海域である噴火湾西部海域では過去5年間で最も保菌率が低く、また最終的な死亡率も低かった。また東部海域では昨年の情報しか得られていないが、今年度は昨年よりも保菌率、死亡率ともに低かった。従って、調査対象海域におけるフランシセラ感染症は徐々に収束しつつあると判断された。中間育成中の種苗についても、東西の両海域において死亡率および保菌率は低かった。死亡が多発していた4-5年前と今年度の水温、クロロフィル、塩分濃度を比較したが大きな変化は認めれず、現在、収束に至った原因について検討している。
昨年度と同様に実施した中間育成試験では、種苗の分散作業を行う時期の遅れや分散後の高密度が死亡率および保菌率を上昇させる現象が再現することができ、中間育成手法の改良は生産性の向上につながることがわかった。
種苗に対する影響を評価するための感染実験では、実験時の飼育水温自体は死亡率に影響をもたらさないが、水温を急激に変動させることで死亡率が高くなる傾向が認められた。そのため、感染個体は水温変動など急激な変化に対して弱いことが考えられた。
抗フランシセラ血清を用いた簡便な検査法開発では金コロイドへの吸着までは完了した。
そのほか、北海道内で本症が報告されていない海域で感染が疑われるホタテガイを多数認めたことから、本感染症は広くホタテガイ生産海域に広がっていることがわかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
良永 知義 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
夏池 真史 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 | 水産研究本部 函館水産試験場 | 研究主任 | (Kakenデータベース) |
佐藤 敦一 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 | 水産研究本部 さけます・内水面水産試験場 | 主査 | (Kakenデータベース) |
金森 誠 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 | 水産研究本部 函館水産試験場 | 主査 | (Kakenデータベース) |
三坂 尚行 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 | 水産研究本部 栽培水産試験場 | 研究主幹 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)