日本海表層における懸濁態有機物の炭素・窒素アイソスケープの作成
【研究キーワード】
日本海 / 安定同位体比 / 懸濁態有機物 / 基礎生産 / 安定同位体 / 黒潮 / 植物プランクトン / 動物プランクトン / 対馬暖流 / 窒素 / 炭素 / 物質循環 / 食物網構造
【研究成果の概要】
日本海で取得した懸濁態有機物の炭素・窒素安定同位体比の分析および結果の統計解析について進めた。安定同位体比の分析については、442試料の分析を終わらせ、季節的に均質ではないものの、統計解析には十分な分析結果を得ることができた。この結果について、統計解析をしたところ、日本海の安定同位体比については多峯性を示しており、ガウス混合モデルから4つのグループ(i-iv)に分類された。ほとんどの試料はグループii(n = 442)に分類され,そのグループのδ13CPOMとδ15NPOMの平均±標準偏差(sd)はそれぞれ-23.7 ± 1.2‰ と 3.1 ± 1.2‰ であった。グループiは低δ15NPOM (-2.1 ± 0.8‰, n = 11)、グループiiiは低δ13CPOM (-27.1 ± 1.0‰, n = 22)、グループivは高δ13CPOM (-20.7 ± 0.8‰, n = 34)が特徴であった。一般化線形モデル(GLM)を用いると、水温とクロロフィルa濃度がδ13CPOMに正の影響を与え、活発な光合成と植物プランクトンの増殖がδ13CPOMを上昇させることが支持された。サンプリング深度、緯度、塩分、硝酸塩濃度もGLMではδ13CPOMに有意な影響を与えたが、クラス間の差は有意なままであった。δ15NPOMの平均値は、日本海では主に硝酸塩を起点とした基礎生産が生じていることを示唆したが、GLMではδ15NPOMの変動は水温と塩分によって説明され、多くの海域で説明要因となる硝酸塩濃度は説明変数とならなかった。これは、長江、黒潮、大気など様々な硝酸塩起源が日本海の一次生産に重要であるためと考えられた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
井桁 庸介 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 | 水研機構(新潟) | 主幹研究員 | (Kakenデータベース) |
木暮 陽一 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 | 水研機構(新潟) | 主幹研究員 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)