耳石安定同位体比を利用したニホンウナギの天然加入個体/放流個体の分布状況の解明
【研究キーワード】
ニホンウナギ / 放流 / 耳石 / 安定同位体比 / 安定同位体 / 資源保全 / ウナギ / 資源動態
【研究成果の概要】
複数の水系より入手したニホンウナギについて、耳石の酸素・炭素同位体分析を行い、判別モデルを用いて天然加入個体と放流個体の識別を行なった。既往研究のデータと合わせ、青森県から鹿児島県に至る17府県21水系について、放流個体/天然遡上個体の割合を明らかにした(876個体)。放流個体の割合は0.0%から100.0%と幅広く、全体では41.4%を占めた。この結果をもとに、天然個体の割合が高い水域において漁獲データを収集し、より正確な個体群動態の把握を試みたところ、それらの水域における天然のニホンウナギの減少が確認された。
【研究の社会的意義】
環境省は2013年にニホンウナギを絶滅危惧IB類に区分した。この時の評価に用いられた主なデータは、日本の内水面ウナギ漁獲量である。しかしながら放流個体が再生産に参加する確証はないため、ニホンウナギの個体群動態を正確に理解するにあたり、放流個体の存在は一種のコンタミとなっている。本研究により、水系ごとに大きな違いはあるものの、日本の内水面漁場に生息するニホンウナギのうち、放流ウナギがかなりの割合を占めることが確認された。本研究で試行したように、今後は天然遡上個体が優占する水域でデータを得ることにより、より正確にニホンウナギの個体群動態を把握できるようになる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
白井 厚太朗 | 東京大学 | 大気海洋研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)