森林流域における土砂災害対策に資する土壌浸食モデルの開発と土石流モデルの適用
【研究キーワード】
土壌侵食モデル / GeoWEPP / 土砂流出 / 土石流数値計算 / 微細土砂 / 土石流 / 斜面崩壊 / 土壌浸食モデル / 数値計算 / 現地観測
【研究成果の概要】
2021年度は,本研究で設定した (1) 土壌浸食モデルの選定と適用,(2) 土石流モデルの精緻化 について,以下のような結果を得た.
(1) 土壌浸食モデルの選定と適用
共同研究者と協議したうえで,本年度は,斜面における土砂移動プロセスを検討することを目的として,新たに豊田市大洞町の人工林流域において調査とGeoWEPPの適用を開始した.対象地においては,斜面侵食の観測が継続的に実施されているためである.濁度計と自動採水器による採水とその分析によるSS(Suspended Solid)の観測も実施し,土砂収支の検討も可能とした.観測結果とGeoWEPPによる再現計算の比較から,斜面における土砂生産が流域からの土砂流出に占める割合は限定的であり,大部分の土砂は過去に生産され,現在は河道に貯留されている土砂が供給源であることが示された.
(2) 土石流モデルの精緻化
昨年度までに数値シミュレーションを実施するうえでの微細土砂の挙動に関するモデル化はほぼ完了したので,共同研究者と協議したうえで,本年度はモデル検証用のデータの整備を進めることとした.まずは実験データの整備を行った.具体的には,扇状地水路で過去に実施した粒径組成の異なる土石流実験の結果を,SfM(Structure from Motion)やPIV(Particle Image Velocimetry)などの画像解析を用いて整理した.結果として,均一粒径では左右対称に近い形状で土石流の堆積が生じるのに対して,微細土砂を含み幅広い粒度分布を有する土石流では,扇頂付近で土石流の粗粒分が堆積する一方で,下流域では土砂と水の分離が早期に生じるなどの違いが見られることが明らかになった.これらのプロセスにより,混合粒径での土石流では扇状地上で首振りが見られた.以上の結果を取りまとめて投稿した.
【研究代表者】
【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
【研究期間】2020 - 2022
【配分額】14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)