気候変動により増大する災害リスク定量化のための洪水・土砂流出量予測手法の提案
【研究キーワード】
気候変動 / 土砂災害 / 山地洪水 / 斜面崩壊 / 土石流 / 降雨流出 / 自然災害 / 中山間地域 / 洪水流出
【研究成果の概要】
本研究では、気候変動による豪雨の激甚化が中山間地集落の自然災害リスクに及ぼす影響を評価するために「山地流域における降雨規模(1降雨の総降水量及び降雨強度)の変化に対する水・土砂流出の応答特性」の解明し、予測手法を提案することを目的に実施している。具体的には、1.斜面土層内に降雨の一部が貯留される状態(比流量<降雨強度)、2.斜面土層が飽和に達し、比流量≒降雨強度となる状態、3.土石流や斜面崩壊の発生により、地中に貯留されていた水が流出する状態(比流量>降雨強度)といったように降雨規模の大小により状態が変化するという作業仮説の検証を行い、容易に取得可能な場の条件に関する情報から山地流域における災害を引き起こすような豪雨時の洪水流量・土砂流出量を予測する手法を提案することを目的とする。
そこで、本研究では、まず、山地流域の豪雨時の降雨流出応答を明らかにする。中でも、土砂災害の発生場にしばしばなる大起伏山地は水文観測データの蓄積が進んでいないことを考慮し、東京大学秩父演習林や筑波大学井川演習林において水文観測を実施する。その上で、既存の中起伏山地の水文観測結果と比較し、大起伏山地の降雨流出応答がこれまでの中起伏山地における知見で説明可能か検証しつつ、降雨規模の増大に伴い1から3の状態に遷移するとした作業仮説を検証する。さらに、山地流域で土石流、斜面崩壊が発生した場合の流出量に関する各種データを集約・分析し、土砂移動が生じるような豪雨時の山地流域の水および土砂の流出特性について検討する。ここでは、特定の山地流域における航空レーザー測量データを用いた解析と、各種のデータベースを用いた日本列島スケールの解析を実施する。これらの解析を通して、上記1~3の作業仮説を検証した上で、検証結果に基づき、数値解析により土石流、斜面崩壊の発生を予測する手法を提案する。
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【研究代表者】