森林場における水(質と量)・エネルギー循環の素過程の定量化と総合モデルの構築
【研究分野】林学
【研究キーワード】
森林 / 水循環 / エネルギー循環 / 蒸散 / 樹液流 / 土壌水分 / リター / モデル / 森林場 / 観測システム
【研究成果の概要】
本研究は、森林における水・エネルギー循環と連結した物質循環の研究に波及させ、森林環境影響評価に関係する国内外の研究の発展に貢献する意図をもって行われた。具体的には、森林場(小流域スケール、あるいは2km〜20kmのメソスケール)での各循環の素過程を定量的に解明し、水量、水質、およびエネルギー循環プロセスの相互の関係を明らかにし、互いの循環への変換系を構築し、総合的な水・エネルギー循環システムモデル(SPACモデル)を開発することを目的とした。
九州大学福岡演習林に,共同観測プロジェクトを基盤として「水・エネルギー循環動態観測試験地(3次元超音波風速温度計、樹液流計測、土壌水分量計測、酸性降下物計測、林内雨・樹幹流計測、浸透流出水計測など)」を整備し、詳細で精密な観測に基づいて、以下について検討した。
(1)それぞれの素過程の正確で詳細な現象の定量的な観測をもとに、各循環システムの素過程の動態を定量的に明らかする。
(2)観測データをもとにした基礎理論モデルを作成し、数値シミュレーションによって、現象を一般的に明らかにする。
(3)各循環の要素量で、相互に同定でき、相互に変換可能な「蒸発散量」、「潜熱量」、および「土壌水分量」を共通物理量として、水収支、エネルギー収支に伴う水分量の変動と水質変化、それらの相互変換システムを明らかにする。
(4)森林場の各循環の入力に反応する総合的な水・エネルギー循環モデルを構築し、降雨、日射によって生じる各循環の動態を総合的に明らかにし、蒸発散量、水分動態の量と質をもとに、森林が水・エネルギー循環過程において環境に与える影響評価を可能とする。
これらの研究によって、従来、個別にしかシミュレーションできなかった各循環システムを,各循環の影響を総合的に評価できる水文モデル(SPACモデル)を構築した。
【研究代表者】