参加型森林管理のポリティカルエコロジー
【研究分野】林学
【研究キーワード】
ポリティカルエコロジー / 参加型森林管理 / 社会林業 / コミュニティー林業 / 利害関係者 / 土地森林分配政策 / 地方分権 / decentralization
【研究成果の概要】
1.本研究の目的は、(1)地域住民による慣習的な森林管理制度の実態とその変遷を把握し、コモンズ論の枠組みを援用してその有効性を評価し(村落レベルでの文化生態学的研究)、(2)村落レベルから国家レベルにおける森林の利用・管理をめぐる様々な主体(アクター)の動向・利害関係を把握し、現在の森林管理を実現させている政治経済的均衡状態を明らかにする(村落と国家を結ぶ政治経済学的研究)ことである
2.調査査対象地は、インドネシア共和国では東カリマンタン州の3村で、ラオス人民民主共和国ではウドムサイ県の2村およびサワンナケート県の国家保護地域である。
3.結果の概要
(1)インドネシアでは地域住民による慣習的な森林管理・利用が現在でも有効に実施されている。人々よる森林の管理制度はルースなコモンズであるといえる。しかし、地方分権化への移行期における外部アクターの進入によってコミュニティーによる森林管理は危機に瀕している。一方、ラオスでは長い戦乱の影響、集落の度重なる移動の影響、および社会主義体制による村落の統制の影響で、慣習的森林管理がかなり弱体化している。そのかわり非木材森林産物(NTFP)などの利用に関して明確なルールを作っているケースがみられる。タイトなコモンズを新たに作ろうとしているのである。
(2)インドネシでは地方分権化の進展の中で、国家・州政府と県政府との間で権限を巡る綱引きが行われており、管理体制が整う前に違法伐採などが横行している現状が明らかにされた。またラオスでは土地・森林分配事業をとおして村落住民に森林管理の権限を与える政策を進めているが、現状の土地利用にもとずかなかったり、住民の合意がないまま村落の境界が決定され、土地利用区分が行われていることが明らかとなった。これらの活動にかかわるアクターはそれぞれの論理に基づいて行動していることを示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
百村 帝彦 | 地球環境戦略研究機関 | 研究員 |
NANANG Martinus | 地球環境戦略研究機関 | 主任研究員 |
永田 信 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
MARTINUS Nanang | 東京大学 | 地球環境戦略研究機関 | 主任研究員 |
名村 隆行 | 日本学術振興会 | 特別研究員 |
立花 敏 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2002
【配分額】14,900千円 (直接経費: 14,900千円)