20世紀後半の自然環境変遷と地理的特性評価に基づく将来予測技術の開発 ―GISによる「里山の緑」のシミュレーション―
【研究分野】環境保全
【研究キーワード】
GIS / リモートセンシング / 植生変遷 / 航空写真測量 / DEM / 流出解析 / シミュレーション / 環境共生 / 里山 / 森林成長 / 地球環境 / 植生
【研究成果の概要】
本研究においては、環境共生の議論のシンボルとして注目の集まっている「里山」について、写真測量やリモートセンシングの先端技術と現地観測データをGIS上に統合することによって、その動態を観測する方法論を検討し、取得されたデジタルデータに基づいて、地球温暖化問題とも密接に関わる炭素固定量評価手法の開発を行った。
報告書ではその成果を、第1章:里山の森林成長と二酸化炭素固定量評価の方法論、第2章:リモセン先端技術の森林計測学への応用、第3章:高解像度DEMの精度と応用、第4章:高解像度DEMに基づく丘陵地の流出解析と植生変化、として取り纏めた。
主な成果として、20世紀後半(過去50年間)の里山の自然環境復元をデジタル写真測量技術を応用することで可能とし、森林の変化をGISベースで詳細に解析できるようにした。森林成長を高解像度DEMによりとらえ、植生判別を行った後、針葉樹林および広葉樹林において二酸化炭素固定量を試算した。また、レーザレーダやMSSなど、先端技術を応用して立木の本数や林分材積を算出する方法論の開発を行った。これらを応用することで、二酸化炭素固定量評価手法を高度化できる可能性が示された。一方、高解像度DEM自体の精度検証を、モデル実験を導入して行い、森林動態観測における精度推定の方法論を検討した。さらに、高解像度DEMと現地における流量測定を実施し、植生の違いよる流出特性の違いを明らかにし、植生回復に伴う流出特性変化のシミュレーション手法の開発を行った。
以上を通じて、愛知県瀬戸市を例に、里山の地形的特徴と森林動態を具体的に把握し、その過程をシミュレートする基礎を構築した。
【研究代表者】