倒木更新におけるコケ植物-シアノバクテリア-菌根菌共生系の窒素供給機構の解明
【研究キーワード】
共生 / 窒素固定 / 倒木更新 / 亜高山帯林 / 北方林 / シアノバクテリア / イワダレゴケ / タチハイゴケ / 窒素固定速度 / 更新 / マツ科樹木 / 葉齢 / 単離 / コメツガ / シラビソ
【研究成果の概要】
北方林や亜高山帯林では,倒木上のコケ植物群落が針葉樹の主要な更新サイトの1つである。この群落に優占するイワダレゴケやタチハイゴケには窒素固定能をもつシアノバクテリアが着生(共生)しており,この共生が針葉樹実生への窒素供給に重要な役割を担っていると推測される。本研究では,倒木上におけるコケ植物とシアノバクテリアとの共生と窒素固定の実態を把握することを目的として,①倒木上のコケ植物群落内におけるシアノバクテリアの空間分布と窒素固定速度,②イワダレゴケへのシアノバクテリアの着生やシアノバクテリアの窒素固定速度に影響を及ぼす環境要因,③イワダレゴケに着生するシアノバクテリアの群集構造を明らかにした。
【研究の社会的意義】
日本では森林の更新や物質循環に関する多くの研究が行われてきたが,コケ植物に着生するシアノバクテリアの窒素固定については全く着目されてこなかった。本研究では,コケ植物上におけるシアノバクテリアの詳細な空間分布の解明や新たなシアノバクテリア系統の発見など,国際的にも新規性の高い成果を得ることができた。一方,北方林は,陸上生態系の中でも気候変動の影響を受けやすい場所と推測されている。シアノバクテリアによる窒素固定量は,北方林への窒素供給量の半分以上を占めると推測されていることから,本研究の成果は,今後の気候変動が北方林の更新や物質循環に与える影響を評価するうえでも重要な知見になると期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
福田 健二 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
練 春蘭 | 東京大学 | アジア生物資源環境研究センター(現在使用不可) | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)