住民基本台帳制度の検討を通じた住民概念の構築と動揺に関する研究
【研究キーワード】
住民 / 貞操 / 全幅 / 比較 / 歴史 / 土地 / ムラ / 連携 / 冗長性 / 縮退 / 競争 / 排除 / 管理 / 代表 / 議員 / 二元代表制 / 「近代」化 / 村 / 合意形成
【研究成果の概要】
2020年度は、国内外の現地調査を進める予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、国内外の広域往来、対面方式によるヒアリング調査、図書館利用制限などにより、大幅に予定を変更した。繰越を認められたが、限られた繰越期間では、事態の終熄はなされず、現地調査は大幅に制限された状態であった。そのために、文献調査やデスクトップ調査で可能な範囲での研究を進めた。また、オンライン化が急速に進んだため、研究会の開催はオンライン方式によって継続でき、また、ヒアリング調査も一定程度は行うことが出来た。このような制約のなかで、研究実施計画のうち、歴史研究や都市計画・福祉・教育分野及び、新たに災害分野での研究を主に進めた。
まず、歴史的に住民と区域・土地の関係について遡って研究を進め、近世的なムラ人に土地が従属するあり方が、近代化によって、土地によって住民が構成されることを明らかにしたが、実は、これはもともとは豊臣政権・太閤検地という近世支配の目指した姿であり、初期徳川政権も継承した関係あることが明らかになった。そのうえで、現在の人口減少・縮退時代の土地と人々の関係を「管理型」や競争への動きとして捉え、人口動態と関連付けながら、時代を俯瞰する視座を得た。
ついで、災害や困難事案という行政能力・資源が限られるなかでの住民の問題を採り上げて、住民がどのように把握されるのかを検証した。自然災害や公衆衛生パンデミックや生活困窮・福祉案件などは、資源が限られるがゆえに総合的に個人を把握する要求を高めるものであるが、現実の行政の制度・政策は機能的に分業せざるを得ず、様々な齟齬が発生する。そのときには、連携や統合が求められるものの、現実には資源の制約から排除をすることが起きやすいこと、制度・政策の狭間を連携で埋めることは容易ではなく、冗長性の確保がどうしても必要になることを解明した。
【研究代表者】