古文書から解き明かす江戸時代の森林利用が現生森林へ与えた影響
【研究キーワード】
古文書 / ブナ林 / モミ林 / 現生林分 / 製炭 / 森林利用 / 森林史 / 天城山 / ブナ樹形 / 疎林 / 古文書データベース / ケヤキ / 御林 / ブナの利用 / 伊豆半島 / 測量 / 植生 / 薪炭利用
【研究成果の概要】
伊豆天城山の森林について,古文書の記録と現生林分の調査結果と照らし合わせ,江戸時代の森林状況を明らかにした。まず,記録された森林の位置を知るため,江戸時代の測量記録から地図を作成した。また,山絵図をもとに記録された場所(字)の位置を特定した。ブナ林について,現生の枝下の極端に低いブナが,林縁環境で成立したと推定した。また,ブナ林調査の古文書から,江戸時代末には現生のブナと同じようなサイズのブナが存在し,しかも,疎林化,大径化が進んでいたことを明らかにした。その他,江戸時代の植生状況を文書から明らかにし,これらに基づいて,過去における森林利用が現生林分の成立に与えた影響についても議論した。
【研究の社会的意義】
森林は非常に長い年月をかけて変化するため,現在の森林の状況から過去の状態を推定することは極めて困難である。古文書記録された森林状況を,現代科学の視点で評価し,過去の森林状況を知ることができれば,森林の長期的変化過程の理解に貢献できる。こうした研究は,残された史料が少ない上に適正な評価手法も存在しなかったため,これまであまり顧みられることがなかったが,本研究では伊豆天城山に関する膨大な資料群の中から関連文書を見出し,その記録と現生の森林の調査結果を比較することで,その変遷の一端を科学的に解明した。特に,現生林分の成立に過去の森林利用が深くかかわっていることを明らかにできた点は意義深い。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
齊藤 陽子 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)