植物ウイルスの病原性の分子機構
【研究分野】植物保護
【研究キーワード】
CaMV / TMV / CMV / PVX / ToMV / RNA合成酵素 / 宿主因子 / 宿主特異性 / RDV / RNA複製酵素 / 植物ウイルス / ゲノム解析 / 病原性 / 遺伝子 / ポリメラーゼ / 全身感染
【研究成果の概要】
植物ウイルスのゲノム複製に関していろいろなウイルスを用いて総合的に研究を行った。Cauliflower mosaic virus(CaMV)の遺伝子産物を経時的に調べ、それぞれの遺伝子が別個に発現制御されていることが分かった。また、遺伝子産物のあるものはモノシストロニックmRNAから、また、あるものはポリシストロニックなmRNAから合成されていることが示唆され、ウイルスの複製の過程でCaMV特有の遺伝子発現機構を持っていることが明かとなった。Tobacco mosaic virus(TMV)RNAポリメラーゼの130K成分のmethyltransferaseドメインおよび180K成分のRNA polymeraseドメインにRNA結合活性が検出された。さらに、各ドメインに対する抗体を利用したアフィニティークロマトグラフィーによって、RNA合成活性を有する130K/180K複合体を単離することに成功した。Cucumber mosaic virus(CMV)の増殖が低レベルに抑制されるシロイヌナズナcum1及びcum2変異株の解析を行い、両変異のファインマッピングを行い、現在遺伝子のクローニングを行っている。Potato X virus(PVX)を接種したタバコプロトプラストからサブゲノムRNAを合成するポリメラーゼを可溶化することに成功した。Tobamovirusの複製酵素の979番目のアミノ酸の種類によって、トマトで知られるTm-1遺伝子による抵抗性に対する感受性が変化することが知られているが、イソロイシンにするとトマトで複製できなくなったウイルスがタバコでは複製できることが示され、宿主域決定因子との関連でこの領域が重要であることが分かった。
【研究代表者】