Sox17/Sox18の二重遺伝子改変マウスを用いた血管形成の分子機構の解析
【研究分野】基礎獣医学・基礎畜産学
【研究キーワード】
Sox17 / Sox18 / 血管形成 / 肝臓 / 腎臓 / Vcam-1 / 胚性内胚葉 / マウス / Sox07 / 欠陥形成
【研究成果の概要】
Sox(Sry-related HMG box)遺伝子は、哺乳類から無脊椎動物まで幅広い種から同定され、様々な細胞、組織の分化や発生に重要な役割を担っている転写因子群である。我々は、SoxサブグループFに属する新規のSox遺伝子(Sox17)を単離し、その欠損マウスを用いて、マウスSox17が胚性内胚葉の分化、維持に必須の遺伝子であることを明らかにする過程で、Sox17遺伝子が他のサブグループFメンバー(Sox7、Sox18)と共に、胎仔期の血管内皮細胞に強く発現することを見出した。しかしながら、Sox17欠損マウスの血管形成に異常は認められず、Sox18 (Sox18欠損マウスは血管系異常を示さない)あるいはSox7が血管形成機構において相補的な役割を担っていると推測された。そこで、Sox17およびSox18遺伝子のコピー数を減少させた二重改変マウス(Sox17^<+/->/Sox18^<-/->)を作出、解析したところ、Sox17^<+/->/Sox18^<-/->マウスにおいて、卵巣での生理的血管形成の異常(成熟個体)や肝臓、腎臓における血管の分枝異常(生後発生過程)が認められ、SoxサブグループFが血管形成過程において機能することが示された。また、RNA解析の結果、Sox17^<+/->/Sox18^<-/->マウスの肝臓、腎臓において、Vcam-1 mRNAの発現量が有意に減少することが明らかとなった。以上の結果は、SOx17、Sox18は血管形成調節因子(Vcam-1など)を直接転写制御することで、血管形成に機能する可能性が強く示唆された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
米川 博道 | 財)東京都医学研究機構 | 実験動物研究部門 | 副所長(研究職) | (Kakenデータベース) |
林 良博 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)