癌遺伝子Wip1ホスファターゼの新規基質分子の同定とアポトーシス制御機構の解明
【研究分野】機能生物化学
【研究キーワード】
DNA損傷 / 脱リン酸化酵素 / 癌
【研究成果の概要】
Wip1(PPM1D)は細胞がDNA損傷などのさまざまなストレス刺激を受けた際に、がん抑制遺伝子であるp53依存的に発現誘導される遺伝子として同定されたPP2C型のセリン/スレオニン脱リン酸化酵素である。最近、乳がん、卵巣がん等において高頻度にWip1の遺伝子増幅と蛋白質の発現亢進が起きていることが示された。また、臨床研究の結果から、この様ながん細胞を持つ患者は予後不良であることが報告されており、Wip1が新たながん遺伝子として注目を集めている。しかしながら、Wip1の生理機能や発がん制御における役割はほとんど明らかにされていない。
本研究ではWip1の生理機能と発がんにおける役割を解明し、がんに対する新たな治療法開発への応用を目指して、Wip1の新たな基質分子の同定を試みた。まず、Wip1をテトラサイクリン誘導性に発現するヒト細胞株を樹立し、この細胞に紫外線や放射線刺激を加えた後、免疫沈降を行ってWip1と特異的に結合して共沈してくる蛋白質分子を分離・精製した。さらにプロテオミクスの手法を用いて、これらの蛋白質分子の同定を試みた。その結果、Wip1の新たな基質の候補として、複数の蛋白質分子を同定することが出来た。さらに、同定した蛋白質分子の特異抗体を用いてWip1との結合を確認した。また、これらの分子がWip1によってin vivoで脱リン酸化されることを確認するため、生化学的解析を開始した。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2004
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)