土地利用型経営のステークホルダー・マネジメントと持続性評価
【研究キーワード】
農業経営 / ステークホルダー / 持続可能性 / 水田経営 / 持続性
【研究成果の概要】
農業経営のSH(ステークホルダー)との関係性や経営によるSHマネジメント(SHM)と経営成果との関係のメカニズムについて,既往研究をもとに分析モデルを精緻化した。とくに,SHの類型と影響関係について,既往研究と調査データをもとに整理した。また,集落営農法人の組織文化と経営戦略の関係について,組織文化を「連結ピン」として,集落営農法人のSHMと地域個性との関係や,生活結合の論理をはじめとする二元性を整理した。
国内の複数地域を対象として,水田経営向けのアンケート調査および関連するSHへのアンケート調査の統一調査票を設計し,11月から2月にかけて配布・回収した。また,集落単位のGISデータにより空間計量経済モデルにより分析した結果,集落内のステークホルダーによる人的なつながり(ソーシャル・キャピタル)が耕作放棄の抑制に貢献していることが示された。
具体的なSHMについて,人的資源管理面から,農業法人の従業員に対して職務満足度調査を実施した結果,業績評価に基づく給与体系を採用し,農繁期以外で週休2日としている事例の満足度く,残業ゼロかつ週休1日の事例においては,満足度が低い傾向が示された。
農業経営と地域との関係性について, 法人経営へのヒアリング調査を行い,雇用労働力と地域との関わり,集落営農法人と構成員との関わりなどについて明らかにした。
農業経営の政策対応に関連して,生態系サービス保全において農業環境支払(環境直接支払)が一定の役割を担っており,更なる普及と保全効果の改善のため,農業環境政策に成果連動支払(PFS)を導入することが有効であることを論じた。
【研究代表者】