森林・入会の過少利用とアンチ・コモンズ論 : 所有権論の地理空間学的転回
【研究キーワード】
森林 / 所有権 / アンチコモンズ / 過少利用 / アンチ・コモンズ / 森林GIS / 零細分散錯圃 / 入会権 / 地理空間分析
【研究成果の概要】
当初計画していた京都府や秋田県でのフィールド調査がコロナのためできなかったが、オンライン形式の研究会で全員での議論を重ねることができ、研究の理論仮説、概念の分類、重視すべき先行研究につき共通の理解を深めることができた。
比較対象としている京都府、秋田県、長野県、鳥取県から入会林野整備に関する資料や森林簿GISデータにつき提供を受けることができ、データの整理も進めることができた。これと併せて1990年から2015年の農林業センサスの個票データも農水省から提供を受けることができ、森林の所有構造を統計的に分析していく上での基礎データはそろった。2000年の慣行共有事業体の個票データの分析は、この科研費に先立つ基盤Cの研究から継続してきた作業であるが、分析結果を英語論文にまとめ、査読雑誌International Journal of the Commonsから採択の通知も得た。ディスカッションペーパーとしても詳しい集計結果を公表した。また国際コモンズ学会京都ワークショップでもこの内容に基づき基調講演を研究代表者が行い、研究成果の国際的発信も行えた。
入会林野近代化法担当者の全県アンケートも2021年3月に実施し、全県から回答を得ることができ、次年度以降の基礎を築くことができた。表題部所有者不明土地適正化法についても各地方法務局で探索が開始された土地の公示情報を収集し、山林・原野への同法のインパクトをさぐり、その内容を中日本入会林野研究会で発表し、論文としても入会林野研究に公刊することができた。
【研究代表者】