コメ流通における不確実性とリスクマネジメント
【研究分野】農業経済学
【研究キーワード】
コメ流通 / 不確実性 / リスク / リスクマネジメント / 入札取引
【研究成果の概要】
本研究では、コメ流通の自由化に伴う不確実性の増大が、生産者、農協、卸売業者等に与える影響について、理論と実証の両面から分析を行った。
第1章「自主流通米の価格形成メカニズムに関する考察」では、自主流通米価格形成センターにおけるコメ価格の形成メカニズムの特性を、買い手の戦略と売り手の戦略の分析を行い、リスク要因が価格に影響することを明らかにした。
第2章「コメ市場の制度改革と入札取引の経済分析」では、コメの入札取引に関して、取引データの分析を通じて買い手の応札行動を明らかにし、入札取引制度が取引成果に影響を与えることを明らかにした。
第3章「米穀価格形成センター設立の意義と課題」では、全国米穀取引・価格形成センターにおけるコメの取引方法に関して、オークション理論を用いた分析によって、経済学的な視点から改革の方向性の提言を行なった。
第4章「農業構造改革と農業経営をめぐる問題」では、稲作農業経営の効率性と安定性の問題について、持続可能性の視点から分析し、経済性、社会性、環境保全のバランスを取ることが重要であることを明らかにした。
第5章「生産現場からみたコメ流通のリスクマネジメント」では、「水田農業ビジョン」に着目し、コメ政策改革に対応した生産現場の取り組みをリスクマネジメントの視点から分析し、コメのブランド化、転作作物の商品開発などのリスク対応が、「需要に応じたコメ作り」実現の条件となることを示した。
第6章「韓国におけるブランド米市場の実態と問題」では、コメ流通の変化が激しい韓国を事例として、韓国のブランド米市場の実態調査を行い、ブランド米と称されるコメの価格や流通構造について分析した。
第7章「カリフォルニアにおけるコメの流通に関する調査報告」では、アメリカ・カリフォルニア州を事例として、コメの価格決定と流通過程におけるリスクマネジメントの実態を明らかにした。
【研究代表者】