リアルタイムMRIによる健常軟骨及び変性軟骨の物理的特性の解明
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
関節軟骨 / 力学特性 / 再生医療 / 粘弾性 / MRI / リアルタイムイメージング / 変性 / 電荷密度 / 自己拡散係数
【研究成果の概要】
1.圧縮変形下における生体軟試料MRI測定系の開発 4.9テスラMRI装置の測定ボア内で生体軟試料に圧縮変形を負荷するため,アクリル部材を用いて治具を作製した.圧子をネジ式で押し込む様式とし,ネジ回転角を調整することで変位制御を可能とした.対象試料は生体軟組織を模擬したハイドロゲルとした.開発した装置を用いて試料に10%の圧縮ひずみを負荷し,応力緩和過程の挙動を2次元イメージングによる形状測定で観察した.作製した圧縮装置を用いることで,ゲルの応力緩和過程でMRI装置内部で試料に定常的に圧縮変形を与えられることがわかった.
2.圧縮変形下での試料内部の水分布リアルタイムMRIシークエンスの開発 開発したMRI用圧縮装置を用いて,応力緩和過程での試料内の水成分の流動をリアルタイムに観察するために,1-dimentional proton density imaging sequenceを開発した.本シークエンスは試料のproton励起の際に励起面を圧縮変形に平行な面と垂直な面の二つで行うことで,面が交差する線部分の水分子の信号強度分布を計測した.これにより試料内の任意の直線上の水の濃度分布をリアルタイムに測定することが可能となる.本シークエンスと1において開発したMRI用圧縮装置を用いて応力緩和過程でのハイドロゲル内の水分子の信号強度を測定した.その結果,応力緩和過程において水分子の信号強度の低下が見られ,応力緩和においてゲル内部では外部への水の流出が生じていることが明らかになった.これにより高含水性の生体組織では粘弾性挙動に内部の水分子の流動が関わっていることが実験的に初めて示唆された.
3.再生軟骨内部の陰性固定電化密度の観察 陰イオン性造影剤を用いた陰性電化密度分布MRイメージングを再生軟骨に対して行い,固定電化密度の変化を観察した.軟骨組織の再生に伴い電化密度の上昇が確認された.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)