キチンを用いた光学異方性フィルムの調製に関する研究
【研究分野】林産学
【研究キーワード】
キチン / 液晶性 / 光学異方性 / 二色性 / 磁場 / せん断下 / 液晶 / 円二色性
【研究成果の概要】
キチンを塩酸で緩やかに加水分解することにより合成されるミクロクリスタリンキチンは、NH3+の電荷を有し、サスペンジョン系で、キラルネマチック液晶を示す事が知られている。このミクロクリスタリンキチンの表面のカチオンとアクリル酸モノマーがアソシエートするため、ミクロクリスタリンキチン、水、アクリル酸モノマーの3成分による相図を検討した。完全な等方相、ゆらぎのある相(Birefrigenceを有する相)、異方性相が観察された。この異方性相はキラルネマチック構造を示しており、この3成分系でもライオトロピック液晶を形成することが分かった。この系でこのような詳細な相図が得られたのは初めてであり、この相図をもとにして配向性複合高分子材料を以下のように検討した
この系を用いて、NMR程度の磁場の中で配向がどの様に起こるかを検討した。X線回折図から、二相からキャストして得たフィルムより異方性相からキャストして得られたフィルムの配向性がよりすぐれているのが分かった。また、偏光FT-IRスペクトルにより、グルコース環は磁場方向とは90°アミド、NHが0°方向に配向していることが分かった。せん断力で配向させた場合は、磁場とは全く異なり、グルコース環はせん断方向とは0°、アミド、NHは90°の方向に配向しているのが分かった。
以上のように、ミクロクリスタリンキチンを用いて、フィルムの縦方向、あるいは幅方向に配向を持たせるような光学異方性フィルムをせん断下あるいは磁場中に置いて自由に合成出来ることが分かった。
【研究代表者】