特異な生合成解明を目指した海洋天然物の合成研究
【研究キーワード】
生合成 / 天然物合成 / Ugi反応 / 沖縄産海綿 / アゲラシジンA / 海洋天然物 / 有機合成 / 海綿 / テルペン / イソシアニド
【研究成果の概要】
海綿から単離構造決定された含窒素テルペンであるボネラタミドA,BとCのバイオミメティックなUgi反応による合成ルートの確立を目指した。メントールを出発原料として,イソニトリル基を有するテルペンであるアキソニトリルー3を合成した。アキソニトリルー3,アセトンとグルタミン酸との直接的なUgi反応をメタノール中で行い,ボネラタミドAを得ることができた。これによって,未知の生体内反応を実験室において再現することに成功した。この実験結果は,「自然界が代謝産物の多様性を獲得するためにUgi反応を用いている」という仮説の妥当性を裏付ける証拠となる。さらにアキソニトリルー3とアセトアルデヒドとグルタミン酸α-メチルエステルの反応によってボネラタミドBとCのメチルエステルの合成に成功した。
アゲラシジンAは故中村英士によって沖縄産海綿より単離された海洋天然物であり,C-10位の絶対立体配置はSと推定された。市川によって1988年と1989年にラセミ体のアゲラシジンAの合成が報告された。その後30年間経たのち,2019年にDongとKleijが,2020年にKhanが光学活性体の合成を報告した。いずれも中村が推定した構造式を示し,Dongは旋光度, +18.6の(-)-agelasidine Aを合成したと報告した。また Kleijは符合なしの旋光度, 16.7と(-)-agelasidine Aの合成を,Khanは旋光度,-21.8の(+)-agelasidine Aを合成したと報告した。いずれの合成においても,最終生生物の立体配置の確認はされておらず,申請者はアゲラシジンAの絶対立体配置は未確定であると判断した。そこで申請者はキラルな (+)-アゲラシジンAの合成を計画して,合成に成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
細川 誠二郎 | 早稲田大学 | 理工学術院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)