金属ナトリウムフラックス法による窒化ガリウム単結晶の低温育成
【研究分野】無機工業化学
【研究キーワード】
窒化ガリウム / 単結晶 / フラックス成長 / 結晶成長 / 結晶構造 / X線回折 / 発光特性 / ナトリウム融液 / 極性 / 表面形態 / X線異常分散 / ナトリウムフラックス / 窒化ガリウム単結晶 / ナトリウムアジ化物
【研究成果の概要】
NaN_3とフラックスの金属ナトリウムおよびガリウムをステンレススチールチューブ内に封入し,650-840℃で72-300時間加熱することにより,六方晶ウルツ型構造の窒化ガリウムの単結晶を作製した.840℃では24時間以内に窒化ガリウムの生成反応が終了した.これより低温では,ガリウム-ナトリウム系の金属間化合物が得られ,この上を窒化ガリウムの層が覆っていた.これらの条件では,窒化ガリウムの生成により長い反応時間を必要とした.
ステンレススチール容器の底から2cmの領域で窒化ガリウム単結晶の析出が観察された.上部は琥珀色から無色の板状単結晶が得られた.大きさは最大で約2mm程度であった.板状結晶はステンレス容器の壁に垂直に成長した.下部は,大きさ0.4-0.7mm程度で暗黄色の角錐状や柱状の単結晶が成長した.密封ステンレス容器内の窒素ガス圧力は,窒化ガリウムの生成とともに減少した.結晶形態の変化より,窒素ガス圧力が次第にGaNの平衡窒素分圧に近づいていることが示唆された.
電子線マイクロプローブ分析では,結晶中に不純物は検出されなかった.カソードルミネッセンススペクトルでは,363nm付近に窒化ガリウムのバンド端付近の発光ピークが観察された.650℃,300時間の条件で作製された無色透明の板状結晶において,もっとも線幅が狭く強度の高いピークが見られた.この結果は,良質のGaN単結晶が結晶成長速度が遅いより低温の条件で育成できることを示すものである.
【研究代表者】