水田生態系ビオトープにおける物質循環に関するプロジェクト研究
【研究分野】生物資源科学
【研究キーワード】
農薬 / 流出抑制 / カドミューム / 窒素収支 / 湛水直播 / 谷地田 / 水生植物群落 / 潅漑用水 / 水田モデル / 移流 / 拡散 / 窒素蓄積量 / 乾物生産 / 子実収量 / 水稲根圏土壌 / クロライト化 / 水田工学 / 湛水直播栽培 / カドミュウム / 農薬の流出 / 自動灌漑システム / 植物群落 / 棚田 / オープンパス・フーリエ変換IR分光システム / 赤外線炭酸ガス濃度計 / メタン / ガス濃度 / 温室効果ガス発生量 / 亜酸化窒素濃度
【研究成果の概要】
水田生態系にとって水田に流入する農薬や肥料分など、化学物質の流量や速度(拡散速度)を見積もることは重要である。水田からの潅漑用水に乗った農薬や肥料分が水田の中での拡散および動態を解明した。平田に流入した水は渦を形成し、その渦を拡大しながら周辺の水を押出すような挙動を示す。流れの勢いの強い領域と弱い領域(よどみ点)を観察した。溶質は、前者は移流により、後者は拡散により移動する。水田内の農薬の拡散状態などを調査する場合、適切なサンプリングの場所や数量などにより、評価しなければならないことを指摘した。渡邊は水田からの農薬の流出制御のための灌漑最適制御法について研究した。その結果、使用した自動灌漑システムは排水量や農薬の漏れが無く理想的なシステムである。かけ流し用排水システムの通常の灌漑方法より良いことが実証された。この灌漑システムを使うと環境への負荷が小さいことやここで使用した解析モデルPCPE-1は、改良の必要があることを明らかにした。岡崎は本町水田のCd収支を測定した。米に吸収された6mg/ha/yearなどを考慮して、本町水田からのCdの流入は5mg/ha/year、流出は10mg/ha/yearと見積った。これは、Cd規制法等に対し注意を要することを指摘した。豊田は本町水田において、窒素肥料の施肥と無施肥の条件下で飼料イネの栽培事例調査を行い、窒素収支を見積もった。その結果、イネへは、施肥地区では248kgN/ha、無施肥地区では118kgN/haの量が使われていることが分かった。平沢は、湛水直播栽培と慣行移植栽培により水稲を栽培し、生産された乾物量と窒素集積について検討した。その結果、直播では成長期に、葉が受ける太陽光が多いので、バイオマス量が多く、他の有機体の環境条件が慣行移植栽培と異なることが分かった。福嶋は、谷地田と棚田の立地条件から植物群落の違いを明らかにした。研究対象地の谷地田では348種、棚田では309種類が有り、棚田は雨水を利用する高地に立地し、谷地田は地形的に谷部にするため谷地田の方に水生植物群落が見られた。立地条件からも、圃場の生態が異なることが考えられる。
【研究代表者】