イネの栄養器官におけるアミロース生合成機構の解明
【研究キーワード】
アミロース生合成 / 澱粉粒結合型澱粉合成酵素 / イネ / 澱粉 / 澱粉生合成
【研究成果の概要】
本研究ではイネの栄養器官における澱粉生合成機構の解明を目指し、主に葉身や葉鞘で発現し澱粉の成分の1つで直鎖状分子であるアミロース生合成を担うと考えられている澱粉粒結合型澱粉合成酵素(GBSS)IIの機能欠損変異体を用いて、生理解析を行なった。その結果、GBSSIIは葉身・葉鞘・根におけるアミロース合成を担う重要な酵素であることが明らかとなった。しかしながら機能欠損変異体の葉身・葉鞘の澱粉蓄積量は野生型と差異がなかった。さらに機能欠損変異体の生育や収量は野生型と有意な差はなかった。このことから、栄養器官におけるアミロース合成は光合成産物の効率的な蓄積やイネの生育には重要ではないことが示された。
【研究の社会的意義】
本研究により、これまで解明されていなかったイネ栄養器官におけるアミロース生合成機構の一端が明らかとなった。現在農業残差の多用途利用が検討されており、稲わらは飼料やバイオ燃料原料として注目を集めている。本研究で用いたgbss2機能欠損変異体の稲わらに蓄積する澱粉の詳細な物理化学的な性質の解析と従来の澱粉蓄積量を増加させる技術を組み合わせることで、多用途利用に適した澱粉が蓄積した新品種の開発に貢献できる。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2020-09-11 - 2022-03-31
【配分額】2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)