ナノメートル粒径領域分散油脂の呈味への寄与ならびにナノ粒子先端機能油脂食品の開拓
【研究分野】水産化学
【研究キーワード】
o / wエマルション / 油脂粒径 / 苦味 / 甘味 / うま味 / 嗜好性 / 選択 / マグロ油 / 機能油脂食品 / ナノ粒子 / 呈味 / 酸化安定性 / 粒径 / 酸化 / 高度不飽和脂肪酸 / 脂肪酸鎖 / 緩和時間 / 運動性
【研究成果の概要】
o/wエマルションの酸化機構を解明するために,1H-NMRを用いてTAG分子の脂肪酸鎖の緩和時間(T_2)を測定し,脂肪酸鎖の動きから酸化速度との関連を検討した.その結果,粒径6.54μmエマルションよりも粒径0.815μmエマルションの方が,olefin protonのT_2は長いことが示された.以上から,エステル結合状態における脂肪酸鎖の運動性の相違は酸化速度の違いに及ぼす主要な要因であると推測した.その他の要因として,粒子内の極性物質の移動性の違い,界面活性剤による粒子内油相希釈効果および界面活性剤による粒子界面へのくさび効果を提案した.前年度までに特定した化学的,生理学的特性を示す臨界粒径よりも微小粒径領域におけるエマルションについて,エマルションの粒径の相違が実験動物およびヒトの味覚に与える効果を明らかにしようと試みた.
スクロース(甘味),デナトニウム(苦味),グルタミン酸ナトリウム(うま味)の味物質を個別に添加したマグロ油,イワシ油および大豆油トリアシルグリセロール(TAG)水中油(o/w)エマルションの油脂粒径の大小が味覚に及ぼす影響を検討した.嗅覚不全処理を施したマウスによる二瓶選択試験は,甘味および苦味を個別に加えた小粒径エマルションの飲食量は大粒径エマルションを上回った.ヒトによる官能検査では,苦味を加えたマグロ油TAGおよびイワシ油TAGの小粒径エマルションの先味を弱く感じた.以上の結果から,油脂粒径は呈味成分を添加したo/wエマルションに対する嗜好性に影響することが明らかとなった.さらに,マグロ油TAGは苦味を抑制する効果がイワシ油TAGよりも顕著であることを確認し,苦味の抑制はマウスおよびヒトにおけるマグロ油に対する選択的嗜好性をある程度説明していることが示唆された.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
潮 秀樹 | 東京海洋大学 | 海洋科学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
松川 真吾 (松川 慎吾) | 東京海洋大学 | 海洋科学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】16,160千円 (直接経費: 15,200千円、間接経費: 960千円)