多言語社会における基礎教育に関する学際的研究-南アメリカ諸国との関連において
【研究分野】教育学
【研究キーワード】
南アメリカ / 基礎教育 / 多言語状況 / 二言語教育 / ボリビア / パラグアイ / ペルー / ODA / 教育改革 / 開発援助 / NGO
【研究成果の概要】
南アメリカ諸国は伝統的に植民地期以来のスペイン語・ポルトガル語中心の単一言語・単一文化志向性の強い教育政策を採用してきた.そのために、先住民社会との教育格差やその文化の破壊が問題とされてきたが、1970年代より次第に先住民諸語を重視した多言語・多文化的色彩の強い教育政策、いわゆる「文化交差的二言語教育」(educacion intercultural bilingue)へと方針転換してきた.本研究では、こうした近年の動向を踏まえ、南アメリカ諸国における多言語基礎教育の歴史、近年の動向を主に文献資料に基づいて分析した.最初の3章では、いずれも多くの先住民語話者人口(ケチュア語、アイマラ語、グァラニ語等)を持ち、近年教育改革が進められているボリビア、ペルー、パラグアイにおける多言語状況、そこでの二言語教育の歴史と現状を基礎教育レベルに焦点を合わせて分析した.また、続く第4章では、1996年より始まった南アメリカの二言語教育のための画期的な地域協力の試みである『アンデス諸国のための文化交差的二言語教育養成プログラム』、PROEIB-Andesに焦点を合わせ、その研究と教育、政府・大学・NGOを融合させたユニークな活動を概観した.最後の第5章では、南アメリカ諸国に対する日本の教育援助の取り組みを取り上げ、現在現地で進行中の多言語・多文化主義的な基礎教育改革への新たな援助協力の可能性を検討している.
【研究代表者】