総合的手法による昆虫の系統分類:ノメイガ類における試み
【研究分野】植物保護
【研究キーワード】
総合分類 / 分子系統学 / 形態分類 / 配偶行動 / 性フェロモン / ミトコンドリアDNA / 寄生特異性 / ノメイガ亜科 / 寄主特異性 / Ostrinia
【研究成果の概要】
1.日本産アワノメイガ属7種の性フェロモンと配偶行動に関する研究
アワノメイガを含む6種、アワノメイガ、アズキノメイガ、フキノメイガ、ゴボウノメイガ、ユウグモノメイガ、ウスジロキノメイガの性フェロモン成分を解明した。アワの性フェロモンには国内で地理的変異が、アズキでは性フェロモンの遺伝的多型の存在が明らかになった。ニセアワノメイガは他種とは異なり配偶行動が明期に行われ性フェロモンの機能が明確ではなかった。
2.日本差アワノメイガ属のミトコンドリアDNAによる系統解析
6種についてミトコンドリアCOII遺伝子の塩基配列を調べた。種間解析では、従来の形態に基づいたグループ2(ユウグモ、ウスジロキ)とグループ3(アワ、ニセアワ、アズキ、フキ、ゴボウ)の系統関係は支持されたが、グループ3内の系統関係は支持されなかった。種内解析では、アワを除く各種に1%前後の変異がみられたが、アワには種内変異がまったくみつからなかった。
3.アワノメイガ属の形態学的再検討
形態学的な分類がとくに困難なグループ3に属す5種は、雄の中脚、腹部の鱗粉、交尾期で識別が可能であることを明らかにした。フキに酷似した個体が南西諸島のツワブキから得られたが、雄腹部の形態から別種であることが判明し、ツワブキノメイガと仮称した。
モモノゴマダラノメイガの雄フェロモン
雄からチグリン酸を固定し、風洞実験の結果により雄に対する誘引性を確認した.
【研究代表者】